今回は2021年5月に青島文化教材社様より創業96周年記念として発売された美少女プラモデル「新・合体ロボット アトランジャー & 穂鷹アトリ」をご紹介します。
元々アトランジャーはアオシマ様より1970年代に発売された「合体シリーズ」のロボットで、それが今回「新・合体シリーズ」の第一弾としてリメイクされたアイテムになります。
第二弾には「合体ムサシ&神宮寺凪沙」のラインナップが決定しており今後も目が離せません。
他社のプラモデルにはない独自の構造など評価すべき点の多い商品ですが、実際に手に取ってみると欠点や改善点、注意点など多く見られましたのでそれらをすべて記述しました。
購入を検討している場合はこれらの留意点をすべて理解した上で決めていただくのがよいかと思います。
また、変形方法も載せているので説明書を紛失した場合などにご活用ください
※ページ最下部にてアトランジャーΩ(オメガ)について情報を追記いたしました(2021/06/09)
2021 AOSHIMA non scale construction kit,Unboxing and Review.
青島文化教材社 新・合体シリーズ アトランジャー & 穂鷹アトリ 同梱セット 色分け済みプラモデル
製品情報
- ブランド AOSHIMA
- スケール Non
- サイズ アトランジャー 全高約170mm
穂鷹アトリ 全高約140mm - 素材 PS/ABS/PVC
- 設計 合同会社ランペイジ
- 発売月 2021年5月発売
- 価格 8,800円(税別)
- 対象年齢 15歳以上
- メカニック・キャラクターデザイン:貞松龍壱
合体 アトランジャー、新シリーズで復活‼
70年代に登場し人気を博した『合体』プラモデルシリーズが『新・合体シリーズ』として復活‼ 第一弾は合体ロボットと美少女がセットになった『合体 アトランジャー』です‼(C)AOSHIMA BUNKA KYOZAI Co.,Ltd. All rights reserved.
公式より新シリーズのテーマは「美少女」と断言されており、歴史あるアオシマ社のオリジナルメカと美少女が融合したリメイクシリーズという立ち位置です。
※当初より発売日が延期となり5月発送となりました
※仕様ではスナップ方式接着剤不要キットとなってますが一部接着剤推奨箇所があります
- 原作 青島文化教材社
- 画 貞松龍壱氏
- 原案・脚本 柳生圭太氏、清水圭氏(合同会社ランペイジ)
- 連載協力 電撃ホビーウェブ(KADOKAWA)
”普通”の女子高生ということですが、改めて見ても衝撃的な衣装です。
実は彼女本人も「何この痴女みたいな服」と言い放っています。
アトランジャーが古代アトランティスを題材としているので、おそらく巫女や踊り子、古代エジプトのような妖艶な衣装をイメージしているのでしょう。
本編イラストも非常にかわいいので一見の価値があります。
ダウンロード不要で誰でも閲覧できますのでお時間があるときにでもご覧いただければと思います。
ちなみに彼女が本格的に活躍するのは3話以降で、2021年9月5日には最新6話が公開されました。今年の10月29日に発売される紋章アトリをこのような展開で盛り込んでくるとは意表を突かれました。
セット内容
ロボットと美少女プラモデルのセットということで、当然ながら相当の内容量となります
- 穂鷹アトリ本体
- アトランジャー本体(レッドウイング装備状態)
- ブロークンカッター(剣)
- ミラクルディフェンダー(盾)
- マイティバード用アーム×2
- アトリ用ジョイントなし頭部パーツ
- アトリ用ハンドパーツ計5種(武器持ち手、握り手、ピースサイン、平手1、平手2)
- ロボット用ハンドパーツ計4種(武器持ち手、握り手、平手、ドリル)
- フェイスパーツ計4種(左目線微笑み・右目線ウィンク・正面叫び・印刷なし)
- シール1枚
- デカール1枚
- その他ジョイントパーツ多数
公式オンラインショップで購入した場合は印刷なしフェイスが付属します。この購入特典の有効期限は確認できませんでした
他社の美少女プラモデルだと手首ジョイントは使いまわすのが基本で、
予備に1~2個余る程度ですが本キットではハンドパーツ5種分すべてをまかなえる量があるので手首付け替えのストレスが格段に下がります。
ちなみにシャフト軸の直径が違うため他社モデルの手首とは互換性がありません。
例としてコトブキヤ様と比較して腕側の軸が非常に細いので破損リスクが高そうです
また、ご覧の通りスタンドは簡易的なものも付属していないため別途でお好みのスタンドを用意しなくてはなりません
ランナー2および部品発注用紙(コピー可)
部品発注は記載されているようにアオシマWEBからもお申し込みいただけます。
以上がランナーパーツ一覧になりますが、
名称の最後に「×3」のように枚数が記載されていることからお分かりかと思いますが実際に目の前にするとかなりのランナー量に圧倒されます。
セット内容に「その他ジョイントパーツ多数」と前述しましたが写真に写っている以外にも余剰パーツが出ています。
余剰パーツが出るランナーは「A1」「N2肌色」「N2灰色」、そして説明書にも記載されているように「R部品」の一部が余ります。
余談ですがこの赤いパーツ、おそらくは本来フンドシ部分に使用される予定だったのではないかと思います。
変更になった理由はわかりませんが、プラの素材が異なるので強度面に難があり使用しなくなった可能性はあります
少し注意すべき点はパーツの切り出しの際、ゲートとパーツ形状との境目があいまいな部分が多いので必要な部位まで切り落としてしまわないよう確認してから切り出すようにしてください。
ディスプレイ
フェイスパーツは若干横長で幼い印象を受けます。にもかかわらず上半身は下乳、下半身はフンドシと童顔の女子高生にあるまじき恰好をしているため背徳的な魅力を備えた衣装です。
髪飾りにはクリアパーツが使用され無塗装でも十分な色分けがされていますが、46枚ものシールでさらに細かな色分けを行います(写真はシール未使用)
パーツが細かく分割されているので塗装する場合も難しくないと思います。
可動範囲は他社の美少女プラモデルと比較するとせまく、特に腕は写真の状態よりも下げることが出来ず少し腰から離れた状態になります。
下半身の可動に関しては問題なく、つま先にも可動域が設けられています。
脚部のひざ下は独特な構造で網目模様をシールで色分けを行いますが、若干強度面に不安を感じる構造です。
ツインテールの可動域は接続部がシャフト軸であるため前後に角度をつけることは可能ですがそれ以上のことは出来ません。
良かった点は胸部と腹部の間にリング状の胴体パーツが挟まれているため、多くの美少女プラモと比べると自然なボディラインと可動域の両方を克服した悪くない工夫だと思います。
それに伴い穂鷹アトリ最大の特徴とも言える下乳の魅力が増してます。
欠点としてはスナップフィットモデルでありながら接着剤の使用を推奨される部位がいくつか(胸元、腕、足など)あり、なかなか初心者様にはオススメしがたいキットである点です。
また、美少女プラモデルはフェイスパーツ交換による表情の変化も醍醐味のひとつであるにもかかわらず素組みでは前髪パーツが固すぎて交換が困難です。仮組みの要領で外しやすくする加工が必要になりますので、その点も含めて初心者様にはオススメしづらいと言えます
後頭部に目立つジョイント穴がありますが、ここはジョイントなしの後ろ髪パーツと交換することで無くすことも可能。
しかしここも素組みだと組み付けた時の保持力が強すぎて外すのに苦労するため、あらかじめ仮組み技術を応用した加工を施すことをオススメします。
そして素組みで真っ先に目に入ってしまうのはアトリのお尻ではないでしょうか。
ご覧の通り下着も何も履いていない状態です。
衣装のフンドシはシールで表現する仕様のため貼らないままだとこのような状態になってしまいます。
前垂れで見えませんが正面も同じく肌色一色となってます。
ちなみに腰に開いた小さな穴の活用方法は説明書で触れられておりません。ご自由に使用してくださいということだと思われます
後頭部、背中、腰に設けられたジョイント穴はすべて3ミリ穴であるため汎用性が高く、本キットのみならず他のキットからの流用や組み合わせも可能です。
※30MSは3ミリジョイントを多用したカスタム系美少女プラモデル
昭和の巨大ロボットらしさを残しつつ、現代風にブラッシュアップされた秀逸なデザイン。
シールは一枚も付属しておらず、パーツ分割のみでほぼ完ぺきと言える色分けが実現されてます。カスタム用に設けられた軸穴も3ミリで統一されているため汎用性は高いです。
アトリのように接着剤を指定されている部位もなく完成度の高い仕上がりです。
ただ、分離、変形、合体などの利便性を高めるために外れて欲しくない部位は接着剤で固定してしまうのも手だと思います
内部の骨組みを外装パーツが覆うような構造となってます。外装の装着方法にもひと工夫されており、パーツをばらさずとも脱着可能な、イメージ的にはカバーをかぶせるような方式がとられています。
しかし残念なことにこの外装と骨組みとのはめ合わせがきつすぎるために一度組み付けると取り外すことはとても困難なほどに固いです。
この脱着可能な構造を活かすためにはここもあらかじめ接続部を外しやすくする加工が必須となります
こちらが商品化される前のラフ画ですが、設定を引き継いだ箇所も見て取れますが実物との印象は大きく異なります。
個人的にはここも少々残念なポイントで、この骨格デザインを色濃く残したまま商品化されたアトランジャーを見てみたかったものです。
なぜラフ画と大きく異なるデザインになったのかわかりませんが、憶測としては今後登場する「ムサシ」との互換性を確保しやすくするために単調な構造になった可能性は考えられます
アトランジャー(ブロークンカッター、ミラクルディフェンダー装備)
ハンドパーツを「武器持ち手」用に交換することで剣と盾を装備出来ます。
盾は大きく重量もありますが、腕側にも固定ジョイントを設けてあるため問題なく固定できる保持力があります。
気になる点としてはパーツの白化現象です。ハンドパーツを一度脱着しただけでも写真のようにジョイント穴の周囲に白い亀裂が入りかけています。
手首の保持力は大切ですが、すぐにここまで白化してしまうのは強度面に大きな不安がともないます。
この部位以外にも白化した場所を確認でき、破損こそはしていませんが丁寧に扱っても簡単に白化してしまったのでジョイントが折れる等の破損リスクは高いのではないかと判断します
プラの強度を上げるか、シャフト軸の太さや長さに改善の余地があります。あるいは軸の構造を可能なら円柱ではなく低めの長方形タイプにするのもひとつの手です。
また、すべての箇所において装着時のしぶさも適度な具合に調節する必要があると考えます
ロボット本体とは頭ひとつ分以上の身長差があり、横幅や密度も別格であるためシルエットに大きな体格差が現れます
ちなみに素体はコトブキヤ様のジェネと比べると少し小さいぐらいです。元々がノンスケールであるため何とも言えませんが、しいて言えば1/13スケールぐらいでしょうか
ロボット時の頭部と胸部についていた羽飾りを組み合わせることで再現可能なモード。
原作と比べて一番シルエットが異なる形態。
この状態にするには羽部分の可動部から外し羽の上下を入れ替える必要が出てくるのですが、この羽部分は細く強度が著しく低いため破損する可能性は非常に高いかと思われます。要注意です
ドリルアームと変換することで再現可能なモード。
形状に関しては原作と大きな差は見られませんが、原作のような車輪はありません。
変形はストレスなく組み替えることが出来ますが、頭部はとてもゆるく逆さまにするだけで落下するほどなので角度は付けられず写真のように立たせておくのが無難となってしまいます
レッドウイング、ブロークンカッター、アトランジャーアームを組み合わせることで再現可能なモード。
シルエットは一番原作に忠実です。
変形も問題なく、パーツの外れやすさなども見られません
ロボット時の下半身を変形させることで再現可能なモード。
原作では砲台を備えた戦車のようなメカでしたがリメイク版では巨大なアームを備えたモビルアーマーのような機体になってます。
原作とまったく異なるシルエットですが個人的に一番好きな分離メカです。
変形もスムーズに行え、パーツが外れやすいなどの欠点もありません。
唯一気になることと言えば説明書に従い変形するとアームの付け根と赤いパーツが干渉してしまうことでしょうか。
もしかすると私の変形方法が間違っているのかもしれませんのでその場合はコメントにてご指摘いただけると助かります
原作と比べ形状が大きく変更された分離メカが多いですが、それによって各モードのシルエットに明確な差がつきより「変形」した感を味わえます。
昭和の変形メカはどうしても箱型(例えば両足が直立固定したままなど)になりがちなのでこれは現代の技術をうまく取り入れられていると思います
各分離メカの変形方法は上記を参照してください。
また、2013年に商品化された原作版アトランジャーはこちらで紹介されてます
素体の各所に設けられた3ミリ穴を介してアトランジャーで武装することが出来ます。説明書には装着例としていくつか紹介されてますが自由にカスタマイズすることも推奨されてます。
しかし部分的にジョイントがゆるかったり、逆に固すぎたりということが散見されたので利便性を高めるための加工が求められます。
この写真でひとつ例に挙げますと背後に背負っている巨大アームは付け根が若干ゆるいためその重量を保持する力が不足していました。
また、
公式からロボットの腕を素体に装備させる作例が紹介されていますが、
そのためにはロボットアームの内側についている部品を一度外す必要があるのですがそこが固すぎるためにパーツを傷つけずに外すことが困難でした。
不可能とまでは言いませんが、破損がこわかったので私は今回断念いたしました。(あらかじめ外しやすくする加工が必要です)
カスタム要素を売りにしているので、やはり残念に思うポイントです
まとめ ~アトランジャー & 穂鷹アトリ~
結論を一言で表すなら「玄人向け」だと思います。
非常に惜しいと感じました。
多くの魅力が詰まった商品ですが、それらを最大限に生かすにはプラモデルに対するある程度の知識と経験、そして技術が必要となるため初心者様にはオススメしにくいアイテムです。
十分なボリューム、独自の工夫と構造、色気のある衣装、かっこよくリメイクされた昭和メカと他社のプラモデルとの差別化は十分すぎるほどですが、これまでの解説でもたびたび触れてきたように欠点や注意点、改善点は多く見受けられました。
今回はレビューの正確性を高めるために無加工でお送りしましたが、時間があるときに加工や塗装を施すと思います。
特に致命的なのが分離、変形、合体を売りとしている商品であるにもかかわらず強度の不安や接続部の脱着に関する不具合は看過しがたい項目となってしまいました。
もちろんプラモデルであるためユーザー自身の加工によってそれらのほとんどを改善することは可能ですがスナップフィットモデルのメリットを半減させてしまっているのはやはり残念です。
以上を踏まえ、価格については定価である税込み9,680円では少々割高だと感じました。
しかし無塗装フェイスの付属しない通常版であればまだAmazonで3000円以上も安く購入できるのでその範ちゅうであれば決して高いとは思いません。(2021年6月現在)
プラモデルを商品化するまでの過程は素人ながらざっくりと理解しております。途方もない努力とノウハウが必要とされます。
ですが期待と応援を込め、次回作であるムサシにはこれらの改善点を乗り越えて欲しいと切実に願います
ちなみに前述し冒頭にも触れた「ムサシ & 神宮寺凪沙」のビジュアルは既に公開されてます。
戦艦モチーフのようです。
シルエットは「アズールレーン」や「艦隊これくしょん」を彷彿とさせますが、こちらはその艤装が様々な形態に変形、ロボットにもなるので差別化はされていると思います。
この設定ラフを忠実に商品化できたとすれば、これはかなり飾り映えしそうですね。
被っている帽子はマリンキャップ? と言うのでしょうか。私が非常に好む萌え要素なので惹かれてしまいますね。
ユーザーとして思うのは「発売時期は遅くてもかまわないのでよりよい商品にしてほしい」という点のみです。
レビューは以上となります、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
もしも記述に誤りがありましたらご指摘いただけると幸いです。
私は1.5弾という立ち位置なのではないかと認識しましたが、第二弾はΩとの告知がありました
新・合体シリーズ第二弾「合体アトランジャーΩ」発表になりました。アトランジャーΩは白系成型色とクリア成型パーツ、紋章デカールでより神々しく。美少女「オメガ」は肌色成分多めの新規パーツでより可愛くなっております!2021年10月発売予定。 #静岡ホビーショー #アオシマ #アトランジャー pic.twitter.com/BvCNDGXAU0
— 清水圭@1/8粉模展 (@sim_k0205) May 13, 2021
6月9日 追記:合体アトランジャーΩ(オメガ)とは
正式に「新・合体シリーズ」の第2弾としてΩ(オメガ)の予約が6月8日より開始となりました。
モデルは連載中のウェブコミック序盤に登場する白銀のアトランジャー。この少女の名前はアトリではなく「Ω(オメガ)」と呼称されているようです。
もしかするとコミック版で脳だけになってしまったのは彼女なのでしょうか。9月5日に公開されたコミック版6話にも登場し、その正体が気になるところです。
- 価格 10,450円(税込・送料無料)
- 発売 2021年10月予定
これは推測の域を出ませんが、
事前情報では件のムサシが第二弾と発表されていたのでおそらく第一弾が延期となる中で空いてしまう次回作までの期間を同じ金型を流用したリカラーアイテムで埋め合わせる意図があったのではないでしょうか。
そしてその予想が当たってしまった場合には、今回のレビューで指摘した欠点は改善されていない可能性は高いです。
発売までの期間内に欠点が改善された状態で製品化されることを願うばかりです。
発売中のアトランジャーとΩ(オメガ)の違いは色が変わっていること以外に、
- 髪飾りのないノーマルヘアパーツが追加
- 手足、腹部の素肌パーツが追加
- 紋章デカールが追加
などがあります。
また、
直販サイト「青島文化教材社 online shop」で購入した場合は上記の特典が付属するようです。
追加メッキパーツ6種ということですが、画像のランナー5種と「プラス新規パーツ1種」の文字から推測するに未公開のパーツが付属するということでしょうか?
残念ながらはっきりと確認できる記述を見つけられませんでした。
そしてこの追加されたメッキパーツの活用法にはどのようなものがあるのか、販売前の情報だけですと評価が難しいところです。
Amazonの場合は割安で購入できますが特典は付属しないため注意が必要です。
以下、関連ページのリンクを貼っておきます
参考ページ(「新・合体シリーズ」プロジェクト 公式サイト)
アオシマ 公式ツイートはこちら
仮組み技術についてはこちらで解説しています
カスタム案で触れた30MSシリーズについてはこちらで紹介しています
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