ハンドメイド

『King of the Undersea』ANIMAGEAR Photo Contest Production Scenery / アニマギア フォトコンテスト制作風景

今回は先日に参加させていただいた『アニマギア フォトコンテスト2021』に出展した作品の舞台裏をお見せしたいと思います。
すでに制作風景はYouTubeに載せておりますが講義系の動画としては投稿しておりませんので、
ここでは製作に利用した技法や道具を詳しく解説していきます。

少し長いお付き合いになりますが、安価で実用的な技法を多く学べますので使えそうなものはぜひ自分のモノとしてお持ち帰りください

◆King of the Undersea -深海の王-

この写真がライトアップ前の様子です。暗所でライトアップすることで例の写真のような光景になります

そしてこちらが実際に投稿したツイートになります

多くの方から支持していただき、本当に嬉しく思います。

写真は神秘的な印象を受けるかもしれませんが、実は暗所で100均のライトひとつ点灯させただけなんです。

それらも含めて詳しく解説していこうかと思います

 

作り方

一連の流れはYouTubeにUPしているので、事前に視聴しておくことで内容を把握しやすくなると思います。

動画はかなりカットしたにもかかわらず17分あり、動画内で解説までしてしまうととてつもなく長い動画になってしまうためこのような形を取りました、ご了承ください。

これより以降は、それぞれの工程にコメントを添えながら「このシーンは何を行っているか」「道具は何を使っているのか」などに焦点を当てながら説明していきます

 

土台の骨組み

最初は基盤となるベース作りから始めています。

使用したのはフォトフレームで、枠以外は不要なので取り除いています。(別の作品で素材になりえるので捨てずに保管してます)
裏側についている写真を固定するための部品も外してますが、背面は最後に壁紙(背景)を設置するので残してあります

 

このフォトフレームですが100均(seria)で購入したものです。
選び方は塗装や装飾のないなるべくシンプルなもの(木工ボンドで接着するため)を選び、
サイズは作品のスケールに合わせます。ちなみに今回使用したフォトフレームは「A4」用紙に対応したサイズです

 

フォトフレームで骨組みを作っただけでは地面がないので、カラーボードを最適な大きさにカットし木工ボンドで張り付けました

 

このカラーボードも100均(DAISO)で手に入るもので実際に100円で調達してきました(店舗によっては取り扱っていない場合があります)

 

岩石の準備

ここではバークチップ(木材)を塗装して岩にしようとしています。

今回は2種類のバークチップを使用しました。理由はサイズが違うためです。
100均であるseriaで小さなサイズのバークチップは手に入りましたが、大きなサイズは近場で発見できなかったためAmazonで調達してます。
本音をいえば100均で済ませたかったのですが300円代で販売されていたので妥協いたしました。

バークチップに塗装しているのはアクリル絵の具(ブラック)で、こちらも100均(seria)で調達できます。

あくまで下地目的なので黒一色ですが、作業後半で色を重ねて奥行きや質感のリアルさを高めます。
のちほど触れますのでこの段階では黒のみです

 

アクリル絵の具とは、
水で希釈できる扱いやすい塗料です。乾くと耐水性で強い塗膜となります。
バークチップとは、
木の樹皮を加工した主にガーデニングに使用される木材。
ウッドチップとは別物で、丸みのある形状が特徴です

 

発泡スチロールで土台作り

ここではおおまかな地形を発泡スチロールで構築しています。

発泡スチロールをカッターなどでざっくりと成形し、土台へグルーガンで張り付けています。

すべて粘土で造形することももちろん可能ですが大量の粘土を消費することになり、乾燥までにかなりの時間を要するのでこの手法を選びました。
ジオラマ制作ではオーソドックスな手法です。

発泡スチロールの入手方法ですがサイズのせいか通販で安く購入することは困難で、私も安定して購入できる場所を確保できていません。
お近くに取り扱っている小売店を見つけるのが最善でしょう

貼り付けた後は、
ターボライターで表面を炙り成形と表面の質感の調整を同時に行ってます。
発泡スチロールは燃えやすいので取り扱いにご注意ください。

ターボライターはお手持ちのもので問題ありませんが参考までに私が使用しているのはこちらです。
燃料に専用ライターをまるごとセットする変わった仕様のターボライターですね

 

グルーガンとは、
手芸などで定番の接着器具で、樹脂製のスティックを熱で溶かし接着面に塗り、冷えて固まった樹脂が固定する仕組みです。
100均でも300円程度で売っていますが過去に不良品を引き当てた経験があるので今後も運用するのであれば800円程度でまともな商品を買う方がオススメです。
私が動画内で使用しているのはこちらですね。スティックに関しては同じ径であれば100均のものを使用できます

 

岩石(黒く塗装したバークチップ)を貼り付けていく

事前に量産しておいた岩(黒く塗装したバークチップ)を水中洞窟に見えそうなレイアウトに設置しています。

岩をそのまま設置しようとすると土台との接地面に多くの隙間が出来うまく配置できないため、紙粘土を間に挟んで接着しています。
この紙粘土はどの100均メーカーでも流通している軽い紙粘土です。
粘土とバークチップのみでは接着力が弱いため、木工ボンドを粘土の両端に塗った上で設置しています。

また、隙間が出来てしまうため行っておりませんがグルーガンの接着力なら粘土とボンドを使用せずとも貼り付けられると思います

 

粘土で地面の成形

粘土で地形を製作します。

ここで二種類の粘土を使用しました。

ひとつは先ほども使用したポピュラーな軽い紙粘土、もうひとつは木粉粘土です。

先に紙粘土で地形の角度を調整し、その上を木粉粘土で覆いました。わざわざ木粉粘土で覆った理由は乾燥後の粗い表面が地面と相性が良いと考えたからです。

すべて木粉粘土でも作れますが、重さの軽量化のために内部を軽い紙粘土にしました。

そして木粉粘土は接着力が弱いので動画のように木工ボンドで補っています。

地形の形を整え終わりましたら、乾く前にあらかじめ量産しておいた岩石をお好みのレイアウトに突き刺していきます。

 

そこまで作業が進んだところで、粘土を乾かすために数日の間を空けます。

乾かす段階でひび割れが生じますが、のちの工程で埋められるのでここでは放置します

 

木粉粘土も100均で手に入り、seriaの場合「木かるねんど」という商品名で売られてます。
私はあえて使用しましたが確かにクセの強い粘土ではあるため、すべてかるい紙粘土を使うのもありです

 

白く露出した部分の塗装

粘土が乾いた段階で、発泡スチロールの白く露出している部分をアクリル絵の具(黒)で塗りつぶしていきます。

なるべく白い部分が残らないように意識して塗りますが、重ね塗り可能なのであとからリカバリーできます

 

次は地面(海底にあたる部分)の塗装です。

ここで使用しているのはタミヤ様の情景テクスチャーペイント (砂 ライトサンド)という商品で、
今まではほぼ100円で済んでいましたがこちらは250mlで1000円と少々値が張ります。
(割高ですが100mlサイズもあります)

しかし仕上がりは非常によく、ペタペタと塗るだけで砂漠のような地表を簡単に表現することが出来ます。
今回は海底を再現したいわけですが、海底も砂ですのでこちらを使用しました。

この塗料は普通の塗料とは違い細かな粒子が含んだペーストで、塗り重ねることでひび割れた粘土の隙間も埋められます

 

ライトの準備

ライトはDAISOの100円で売られていたものを使用しました。

神秘的な写真は、この100円のライトひとつで表現されました。

まずは簡単に分解する必要があります。

ドライバーを使いライト部分の透明カバーを外し、その内側をエナメル塗料のクリヤーブルー で塗装したのち乾燥後に再び組み立て直しました。
エナメルカラーのクリア系統は非常に発色がよく昔から愛用しています。

しかしエナメル塗料は水での希釈や洗浄が行えないので筆の洗浄にはエナメル溶剤 X-20が必要になります。
扱いやすい40mlのビンもありますが通販では割高なため近場に模型店があるならそちらで調達することをオススメします。
喚起など扱いには注意しましょう

 

ちなみにですが、青いライトを用意できるのならこの工程は不要となります。
私の手元には無く、100均に青いライトがなかったので作ってしまおうと考えたのがきっかけです

 

沈没船

続いては重要な役割を果たした沈没船についてです。

重要ではあったのですがコンテストの期日もあり、
なるべくなら早く、そして省略できる箇所は甘んじようと考え素材には既製品であるこちらを使用しました。
ちなみに海外発送ですので梱包はかなり雑に届きます。
場合によっては破損していることも考えられますが、沈没船なので破損していても問題ではないと判断し迷わず購入しました(参考価格1100円)

元々は水槽用の小道具なので改造して使います。
甲板の配色もイマイチでしたので塗り替えました。

甲板のベースにはラッカー系塗料であるクレオス社様のミスターカラー(520つや消しレーダァブラオン)を使用し、
ベースの乾燥後に同じくクレオス社様のミスターウェザリングカラー(マルチブラック)で墨入れと汚しを同時に済ませました。

ウェザリングカラーは塗装後、乾ききらないうちに綿棒で余分な塗料をふき取ります。
残しすぎるとただ黒いだけになり、ふき取りすぎても墨入れの効果が半減です。
加減には慣れが必要ですが特別な技術は必要としないので誰でも出来るはずです。

ウェザリングカラーをふき取り乾燥させた後、
同シリーズの別カラー(サンディウォッシュ)をカットしたスポンジに含ませ、軽く叩くように押し付けて砂や土の汚れを表現しています。
私はなにかの梱包材に使われていたスポンジを使っていましたがなければ台所用品のモノで大丈夫です

 

今回はほんの一例で、ウェザリング(汚し)には説明すると記事ひとつ分ほどの情報量がありますので調べてみるのも良いと思います

 

それらの塗装工程すべてを終え、しっかりと乾燥させたあとに表面の保護と質感の調整のためにトップコートを吹き付け乾燥させたら再度組み直します。

この時使用するトップコートは安価な青いラベルでいいでしょう。プレミアムトップコートより扱いは難しいですが、沈没船なので例えトップコートに失敗しても目立ちません。

 

塗料によってうすめ液も使い分けなければいけないので混乱してしまいそうになりますが、使用したものをここにまとめて記載しておきます

Mr.カラー……今回使用した色ではありませんが参考までにこのようなラベルで売られています。ラッカー系の塗料は希釈や筆の洗浄にエナメル用とは別のうすめ液が必要になります

Mr.うすめ液……Mr.カラー用のうすめ液。110mlもありますが通販だと大容量よりも高いので250mlを載せています

Mr.ウェザリングカラー マルチブラック……墨入れに使用しました

Mr.ウェザリングカラー サンディウォッシュ……墨入れ後の汚しにスポンジに含ませ使用しました

Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液……ウェザリングカラーの拭き取りや粘度調整、洗浄に使用します

つや消しトップコート(青ラベル)…… 今回使用した水性タイプのトップコートです

 

岩に色を加え、リアルな質感に仕上げていく

黒一色では岩としてのリアリティに欠けるため、重ね塗りで色を増やします。

使用するのは再びアクリル絵の具で、ここでは黒と白を混ぜ濃い灰色と設定しました。

前回のようにべた塗りするのではなく、筆が吸った塗料をギリギリまで落としたドライブラシ状にして使用します。

こうすることで下地にした真っ黒な部分は残り、表面のみを細かく着色できるので手軽にリアルな質感を表現できます。
万が一「べったりと塗りすぎてしまった」と感じても乾燥前であればティッシュなどでふき取れます

 

続いては海底の植物などを表現していきます。

動画ではカットしましたが画像の黄色いものはドライモスやカラーモスといった名称で販売されている手芸アイテムです。
サンゴや海藻に見えなくもないかなと選びました。
なるべく安価に済ませたいと考えながら制作していましたので、こちらもseriaで購入したものです。

そして沈没した船体に固着した海藻は同じくseriaで購入した「ホビー用ジオラマスポンジ(白色)」という商品を使用しました。
商品名からもわかるように白いので船体の色(緑)に合わせて着色しました。
ここの着色にはアクリル絵の具を使用し白を9割以上、緑少量の割合で色を製作。

着色後はピンセットでひとつずつ掴み、木工ボンドを付け船体に配置していきました。

 

ちなみにパレット代わりにしているこのダンボールはフォトフレーム解体時に不要となった台紙です

 

沈没船にもうひと工夫加えたいと考え、劣化した帆を製作することにしました。

制作と言っても非常に簡単で特別な材料も必要としません。

ご家庭にあるティッシュを適当なサイズにちぎり、帆として取り付けます。
お手持ちの塗料でティッシュに色を加え、接着は塗料と混ぜた木工ボンドを塗ることで固着させました。

帆まで取り付けたところで、乾燥後に再びつや消しトップコートを吹き付けここまでの工程をコーティングしました

 

外枠の製作

仕上げの段階です。

100均(seria)で購入したフォトフレームを使用しています。
土台に使用したフレームとは少しだけデザインが違いますがサイズは同じです。

この枠を作品の全面に張り付けることで絵画っぽい作風にまとまるわけですが、
実はそれ以外に重要な役割を担っております。

照射するライトを設置する天板(塩ビ板、のちほど触れます)を乗せる支柱の役割があります。
ですのでこのフォトフレームの裏側には天板を乗せるための余白を、別の木材をカットして貼り付けて作っています。
ホームセンターにて200円程度で購入した棒状の角材を使用しました。

 

動画では二種類のニスを塗っておりますが、手元に使わない塗料があったので下地に使用しただけなのでここを模倣する必要は特にありません。お好みのニスを重ね塗りでよいと思います

注意点としては、
フレーム裏の下部はあえて塗装しない点です。
最後に土台に木工ボンドで接着するため、木の肌を露出しておかなければ接着力が下がってしまいます。
塗ってしまった場合は乾燥後に紙やすりで剥がすか別の接着剤を使うなど他に手段はあります

参考までに私が使用したニスはホームセンターで購入した和信ペイント様の油性ニス(オールナット)です。
仕上がりは美しく愛用していますがムラになりやすく扱いは難しいと思います。
本来ならばうすめ液で粘度を調整して使いたかったのですが近場のホームセンターには入荷しておらず、通販だとかなり割高なので妥協した部分です。

ニスが乾いた段階でフレームの四隅にコーナー金具を瞬間接着剤で張り付けています。
ちょっとしたひと手間ですがオシャレな印象になります。

コーナー金具は決して高価なものではありませんがお気に入りのサイズやデザインを見つけるのは苦労するかもしれません。
私も小さなネットショップから通販で取り寄せました。

 

あくまで参考としてリンクを記載しておきますが安くはないのでオススメは出来ません
近場のホームセンターなどで取り扱っていれば安く手に入ると思います

和信ペイント 油性ニス(オールナット)

和信ペイント ペイントうすめ液

 

裏側に背景を設置する

フォトフレームを骨組みにしているため、裏側にはその機能が残っています。

フレームに合ったサイズの用紙をセットすれば立派な背景の完成です。
背景紙はプリンターがあればフリー素材を印刷するだけで済みますし、もちろん自身で描いても良いです。

あるいはサイズに合わせた岩肌のパネルを粘土などで製作しはめ込むことで、奥行きのある岩の壁面とすることも可能ですね。

実はこの最後の案は取り入れようか最後まで迷ったのですが時短のため紙で済ませた背景があります

 

土台前面にフォトフレームを接着する

最後に全面下部に木工ボンドを塗り、塗装したフレームを貼り付ければ完成となります。

 

ライトを設置する上部はどうなっているのかと言いますと、

 

映像ではお見せしていない上部。前述した天板を乗せる余白がわかるかと思います

見てわかる通り、ここは視聴者から見えない位置なのでここぞとばかりに手を抜いています。
塩ビ板の保護フィルムやシールも剥がさずにそのままですね。

この透明版の上に制作したライトを乗せ、暗所で点灯することであの光景が浮かび上がるわけです。
非常に単純ですが、安価で合理的でもあります。

さて、

最後にどのような映像に仕上がったのかを1分半のショートVer.でお確かめください

映像はこんな感じになりました。

無意識に視聴していたら巧妙に隠されている作品上部に気づかなかったのではないでしょうか。

 

非常に長くなってしまいましたが、なにか一つでも自身のスキルとして持ち帰ってくださればと思います。

それではここまでお付き合いいただきありがとうございました

 

 

 

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